セコさと意地だけで挑むマラソン大会や、しみじみとした日常を綴ります。



   
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まんた1968

Author:まんた1968
数年前からランニングを続けている奈良県在住のオッサンです。
年に二、三回ですが、ウルトラマラソンにも挑戦しています。
タイムは凡庸なものですが、完走を目標に意地で走りつづけることを得意としています(笑)。

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読み継げることの幸せ

   
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 以前この場でも紹介した、小説家・船戸与一さんの遺作『満州国演義』。
 この夏文庫版(新潮文庫)の刊行がスタートし、7、8、9月と三月連続で、待ってましたとばかりに購入。
 第一巻 風の払暁
 第二巻 事変の夜
 第三巻 群狼の舞
 と読み進め、久々に頭の先までどっぷりと、船戸ワールドに浸らせてもらった。

 改めて思うが、やはり船戸小説はいい。冒険小説やハードボイルド小説で船戸与一に近いテイストの作品はないかと、他にも色々手を出したが、感じとして似通ったものはあっても、やっぱどこか違うのである。

 その違いを上手く言葉では言い表せないのだけれど、「武骨さ」「アナーキズム」「スケール感」等々、様々な点において、船戸小説は独特の味わいを持っているのだ。
 強いて言うなら「神話的」だろうか。常人の二倍、三倍も長生きし、この世の辛苦を味わい尽くしたインディアンの古老、ないしはアイヌの長老といった種類の人たちが、静かな夜に焚き火の前で、部族の若衆に向かってゆっくりと語り掛ける、そんな部族伝承にも通ずるテイストを、船戸小説は確かに有しているのだ。

 この「船戸節」とも呼ばれる語り口は、たとえ題材が満州国であろうと変わることはない。結末に向かってちょこまか疾駆するような小説が多い中、船戸与一の大河のような語り口は、読んでいて本当に心地良い。物語の行く末が悲惨この上ないものであろうとも、そのぶっとい語り口が、結末を神話レベルまで昇華してしまうのである。だから船戸作品は、読み応えはもちろんのことだが、読後感がどこかしら、セピア色に褪せた昔の写真を見ているようで懐かしいのだ。

 そしてこの月末から、また三カ月連続で、続巻の刊行がスタートする。
 第四巻 炎の回廊
 第五巻 灰塵の暦
 第六巻 大地の牙

 その後三月ばかりのインターバルを挟んで、
 第七巻 雷の波濤
 第八巻 南冥の雫
 第九巻 残夢の骸
 と刊行さる予定で、船戸小説史上最長のボリュームを誇る『満州国演義』という物語は、来年の夏、堂々の完結を迎える(※文庫版の)。

 船戸与一さんが亡くなったのは今春のこと。氏の遺した長大な物語は、著者自身の一周忌さえ通り越し、その結末に向かって大河の奔流のように流れ続けるのだ。遺作が独り歩きしていく様子を、船戸さんもあの世で喜んでおられることであろう。

 私もこの年末年始に、待望の第四巻をじっくりと味わわせてもらうつもりでいる。物語はまだ半ばにも達していないのだ。読み終えるのが惜しい小説なんて、そうそう巡り会えるものではない。
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