セコさと意地だけで挑むマラソン大会や、しみじみとした日常を綴ります。



   
S M T W T F S
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
<< 2017 >>
プロフィール

まんた1968

Author:まんた1968
数年前からランニングを続けている奈良県在住のオッサンです。
年に二、三回ですが、ウルトラマラソンにも挑戦しています。
タイムは凡庸なものですが、完走を目標に意地で走りつづけることを得意としています(笑)。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
フリーエリア
フリーエリア
カレンダー
08 | 2017/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
このブログをリンクに追加する
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
アクセスカウンター


スポンサーサイト

   
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
| - | - | page top |

桜花

   
 子供の頃、漫画家・松本零士さんの「戦場まんがシリーズ」に収録されている、『音速雷撃隊』という短編漫画に初めて触れた時の衝撃は、今にして思うとかなりのものであった。
yu022.jpg
 「桜花(おうか)」と名付けられ、機首に桜の花びらを一輪あしらった特攻用の人間ロケットの、棺桶のように狭苦しいコクピットに、神雷部隊の鉢巻をした搭乗員が一名乗り込み、一式陸攻爆撃機の腹側にロケットごと吊り下げられ、洋上のアメリカ艦隊へと接近する。
 母機もろとも撃墜するべく猛攻を仕掛けてくる米軍戦闘機の群。被弾し、片肺になりながらも飛び続ける一式陸攻。腹に吊した一撃必殺の人間ロケットとその搭乗員を、何が何でも撃ち出さなくてはならない。そのためには、敵航空母艦を桜花の射程圏におさめるまで、石にかじりついても飛び続けるのみ。

 「俺を切り離せ。切り離して身軽になれ」
 「なんの、まだ飛べるぜよ」

 母機と桜花のコクピットで交わされるヒリつくような会話。桜花搭乗員に還れるあては初めからないが、母機乗組員たちも、もはやここが死に場所と腹をくくっている。
Ohka-16G4M.jpg
 やがて敵航空母艦が視認できるようになる。
 「もう大丈夫、切り離してくれ」
 「野中、あとは任せたぞ」
 切り離される桜花。一瞬静止するかのように落下した桜花が、次の瞬間、打ち上げ花火のようにロケット燃料を噴射させる。
 「あはは、野中のやつ、ロケット全部点火させて行きよったわい」
 火だるまになって墜落を始める一式陸攻。
 「すまん……」
 一足先に死地へ向かう仲間たちをちらっと見送り、いよいよ突撃態勢に入る桜花搭乗員・野中。

 海面すれすれを猛スピードで敵母艦へ接近する桜花。烈しい艦砲射撃が行われるが、既に遅し、人間ロケットは空母の土手っ腹に突き刺さり、一呼吸のち、ズズンという重苦しい衝撃波が混乱をきわめる艦橋に到達する。
 「なんて奴だ……。奴は音速を超えてきたのか?」
 呆然とする空母艦長。そして空母は大爆発の後、炎上する。

 松本氏が描いたこの人間ロケット「桜花」が、漫画上の創作ではなく、太平洋戦争末期、日本軍に実戦配備されていたという事実を知ったのは、それから数年後のこと。高校生になってからだった。
IMG00539.jpg
 以来、この季節、満開の桜を見る度に、鉄の棺桶の機首に印された桜の花びらをふと思い出し、どうも心底から浮かれることが出来ない。犠牲になった搭乗員が気の毒とか、そういうこと以上に、「自殺兵器」に桜の花をあしらうという感性に、止みがたい恐怖を覚えるのだ。
 今なお過労死なるものが蔓延するこの国。綺麗で短く儚い桜の花……良くも悪くも日本という国を象徴する花である。
スポンサーサイト
| comments(0) | trackbacks(0) | page top |


この記事のトラックバックURL:
http://masahashi.blog.fc2.com/tb.php/314-a50778b1
<< NEW | TOP | OLD>>
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。