第19回村岡ダブルフルウルトラランニング③
2016.09.30
大野エイド(22.8km)を発って川沿いをまっすぐに走ると、やがて福岡の町(24.5km)に到達する。ここは66kmの部のスタート地点になっており、スタート時刻は午前8時。
私の到達はまだそれより先だったので、66kmのランナー一団は、道路の端で縦列になってスタンバイ状態。我々100kmは、その横を通過する形になる。
66kmのスタートに先行して福岡を通過する場合、何より嬉しいのは、我々の到着を、66kmのランナーさんたちが、花道をこしらえて出迎えてくれることである。
両側から差し出される数々の手に、タッチしながら通過していく瞬間の高揚感といったら、ただ事ではない。
66kmのスタート地点を過ぎた辺りには、今回のゲストである土佐礼子さんが、ハイタッチのために待ち構えて下さっている。倍増する高揚感。
土佐さんから少し行った地点では、なんちゃって細川たかしが、「北酒場」を歌いながら待ち構える。この細川たかし……正体は、歓迎祭の司会者さんなのだけど、北酒場を歌っていなければ、以前扮された「郷ひろみ」や「石原裕次郎」と見掛けに大差はなく、たぶん、誰も細川たかしだとは思わないはずである。しかし私にしてみれば、毎回にわたって繰り出される、この「強引な仮装」がたまらないのだ。
おまけに今回、輪をかけてたまらなかったのは、このなんちゃって細川たかしが、「北酒場の一部のフレーズ」に、やたらと固執していたように思えたことだ。
『ちょっとお人好しがいい♪ 口説かれ上手なほうがいい♪』
よほどお気に入りなのか、この部分ばかり繰り返すのである(笑)
おそらく私が近くを通りかかった時、たまたまその部分を歌っていたにすぎないとは想像するのだけど、これが見事に「ツボにハマった」。その後、なんちゃって細川たかしと遭遇する度に、笑いを堪えるのに一苦労だった。
話がレースから激しく逸脱してしまったが、我がブログでは、こういう部分こそ詳細に記述しておかねばなるまい(笑)
福岡を過ぎると、またきつめの登坂に突入する。山肌に建つ家々の間を、縫うように上っていく。
その途中にある和池公民館下の広場では、村岡高校生による太鼓の演奏が披露される。
兎和野高原で分岐した88kmコースが合流するのも、この地点であり、やがてスタートを切った66kmの部が追い上げてくることから、この先、一気にランナーが増加する。
人で溢れかえる前に、毎回楽しみにしている「おばあちゃんの貝殻の御守り」を頂かなくてはならない。おばあちゃんが我々ランナーに、一年がかりで拵えた手作り御守りを配ってくださるのは、公民館から少しばかり上の、道が右側にカーブしている辺りなのだ。
66kmがまだここまで到達していないので、今回はゆったりとした雰囲気で頂戴することができた。これで四つ目。おばあちゃんに感謝。来年もまたよろしくお願いいたします。120kmのゼッケンを胸に、頂きに上がります<(_ _)>
本日一つ目の目標を果たし、やれやれという心持ちで第2のピーク「黒田石碑エイド(28.0km)」に到着。予想したとおり、気温の上昇が激しい。登坂してきたので汗だく。被り水で頭や首筋を冷やす。
さっぱりして顔を上げると、そこには昨晩相部屋だったアベベさんが、お遍路姿で立っている。
「おばあちゃんの御守り、貰いました?」と訊くと、「ええ」と言って嬉しそうに笑うアベベさん。村岡は初参戦で、一つ目を無事ゲットというわけですな。喜びもひとしおでしょう。
アベベさんと二人してエイドを出発、セメント舗装の農道を下っていく。
中程まで来たところで、前方に桃色うさぎさんの後ろ姿をロックオン! 桃色うさぎさんは88kmなので、ここに至るまで、我々に較べればずいぶんショートカットしているはずなのだが、この暑さである、重仮装でペースアップは不可能に等しい。着ぐるみの中はサウナ風呂状態であろう。横に並び、声をかける。
「やはり暑くなりましたね」
「ええ、地獄です」
顔には玉の汗が浮いている。けど、桃色うさぎさんは満面の笑み。この格好で前進し続けることを、心底楽しんでいらっしゃるのだろう。「凄いお人だ……」と改めて思う。
桃色うさぎさんを追い抜き、その後はアベベさんと抜きつ抜かれつ、「市原エイド(33.1km)」まで下りてきた。
100km・88kmランナーは、ここから川に沿って「光陽エイド(34.8km)」を目指す。コース中でも希少なフラットエリアである。
光陽エイドの少し先の橋で、川の向こう岸に渡り、折り返す。この復路がなんとも絶景なのである。
真っ直ぐに延びる農道……その道を彩る目にも鮮やかな朱の彼岸花。そんな光景のただ中を、お遍路姿のアベベさんが駆けていく。あまりにも絵になる構図。思わずシャッターを切ってしまった。
光陽の折り返しを走破し、市原の分岐点にまた戻ってきた。ここで第1関門(37.1km)をひとまずクリア。ここから我々は、100km限定の「猿尾滝エリア」、別名「流しそうめんエリア」へと突入する。
この区間は完全な折り返しで、折り返し点までの距離は片道3km。行きは上りで帰りは下り、ときわめて分かりやすい。が、この上りが曲者で、斜度はさほどでもないのだが、この後ついに始まる「蘇武岳攻略」を目前にして、ボディブローのようにじわりと足のスタミナを削り取るのである。なので、ここを飛ばすのは要注意。
上り区間の39km地点にあるのが「猿尾滝エイド」。このエイドには折り返し後にも立ち寄ることが可能だが、私の場合は、どうせならペースの上がらない往路で利用させてもらうことに決めている。その際に、名物の流しそうめんや豚汁でカロリーをたっぷり補給し、折り返し点の「作山エイド(40km)」と復路の猿尾滝エイドはスルーする。下りオンリーの復路では、なるべく立ち止まらずに時間を稼ぎたいからである。
今回も上記の作戦を実行に移した。作山での折り返し後は、下りを利用してテンポよくエリアの入口まで引き返した。折り返す直前に、先行する師匠とすれ違った。足の具合が悪いとおっしゃっていたが、今のところはまだ大丈夫そうだ。
そしてエリアの入口近くまで戻った時、前方から接近する海水さんを発見! ハチ北高原以後は先行されているものとばかり思っていたが、どこかで入れ替わっていたようだ。
「頑張って!」と声掛けすると、「まんたさん、ナイスランです!」と元気な声が返ってきた。すれ違いざまとはいえ、表情にも疲労の色はさほど見られなかったので、私との距離差から推測しても、海水さんがこの後、蘇武岳の第2関門をクリアすることは可能だろうと想像した。
が、海水さんのブログ『遊泳ヲ禁ジマス』によると、この時点で、かなり深刻な足の状態になっておられたようだ。
そんなことになっているとはつゆ知らず、私はと言えば、今回も猿尾滝エリア終了直後に、眼前に妖怪ぬりかべのごとく立ち塞がる「あの急坂」に、震え上がっていたのであった。
私の到達はまだそれより先だったので、66kmのランナー一団は、道路の端で縦列になってスタンバイ状態。我々100kmは、その横を通過する形になる。
66kmのスタートに先行して福岡を通過する場合、何より嬉しいのは、我々の到着を、66kmのランナーさんたちが、花道をこしらえて出迎えてくれることである。
両側から差し出される数々の手に、タッチしながら通過していく瞬間の高揚感といったら、ただ事ではない。
66kmのスタート地点を過ぎた辺りには、今回のゲストである土佐礼子さんが、ハイタッチのために待ち構えて下さっている。倍増する高揚感。
土佐さんから少し行った地点では、なんちゃって細川たかしが、「北酒場」を歌いながら待ち構える。この細川たかし……正体は、歓迎祭の司会者さんなのだけど、北酒場を歌っていなければ、以前扮された「郷ひろみ」や「石原裕次郎」と見掛けに大差はなく、たぶん、誰も細川たかしだとは思わないはずである。しかし私にしてみれば、毎回にわたって繰り出される、この「強引な仮装」がたまらないのだ。
おまけに今回、輪をかけてたまらなかったのは、このなんちゃって細川たかしが、「北酒場の一部のフレーズ」に、やたらと固執していたように思えたことだ。
『ちょっとお人好しがいい♪ 口説かれ上手なほうがいい♪』
よほどお気に入りなのか、この部分ばかり繰り返すのである(笑)
おそらく私が近くを通りかかった時、たまたまその部分を歌っていたにすぎないとは想像するのだけど、これが見事に「ツボにハマった」。その後、なんちゃって細川たかしと遭遇する度に、笑いを堪えるのに一苦労だった。
話がレースから激しく逸脱してしまったが、我がブログでは、こういう部分こそ詳細に記述しておかねばなるまい(笑)
福岡を過ぎると、またきつめの登坂に突入する。山肌に建つ家々の間を、縫うように上っていく。
その途中にある和池公民館下の広場では、村岡高校生による太鼓の演奏が披露される。
兎和野高原で分岐した88kmコースが合流するのも、この地点であり、やがてスタートを切った66kmの部が追い上げてくることから、この先、一気にランナーが増加する。
人で溢れかえる前に、毎回楽しみにしている「おばあちゃんの貝殻の御守り」を頂かなくてはならない。おばあちゃんが我々ランナーに、一年がかりで拵えた手作り御守りを配ってくださるのは、公民館から少しばかり上の、道が右側にカーブしている辺りなのだ。
66kmがまだここまで到達していないので、今回はゆったりとした雰囲気で頂戴することができた。これで四つ目。おばあちゃんに感謝。来年もまたよろしくお願いいたします。120kmのゼッケンを胸に、頂きに上がります<(_ _)>
本日一つ目の目標を果たし、やれやれという心持ちで第2のピーク「黒田石碑エイド(28.0km)」に到着。予想したとおり、気温の上昇が激しい。登坂してきたので汗だく。被り水で頭や首筋を冷やす。
さっぱりして顔を上げると、そこには昨晩相部屋だったアベベさんが、お遍路姿で立っている。
「おばあちゃんの御守り、貰いました?」と訊くと、「ええ」と言って嬉しそうに笑うアベベさん。村岡は初参戦で、一つ目を無事ゲットというわけですな。喜びもひとしおでしょう。
アベベさんと二人してエイドを出発、セメント舗装の農道を下っていく。
中程まで来たところで、前方に桃色うさぎさんの後ろ姿をロックオン! 桃色うさぎさんは88kmなので、ここに至るまで、我々に較べればずいぶんショートカットしているはずなのだが、この暑さである、重仮装でペースアップは不可能に等しい。着ぐるみの中はサウナ風呂状態であろう。横に並び、声をかける。
「やはり暑くなりましたね」
「ええ、地獄です」
顔には玉の汗が浮いている。けど、桃色うさぎさんは満面の笑み。この格好で前進し続けることを、心底楽しんでいらっしゃるのだろう。「凄いお人だ……」と改めて思う。
桃色うさぎさんを追い抜き、その後はアベベさんと抜きつ抜かれつ、「市原エイド(33.1km)」まで下りてきた。
100km・88kmランナーは、ここから川に沿って「光陽エイド(34.8km)」を目指す。コース中でも希少なフラットエリアである。
光陽エイドの少し先の橋で、川の向こう岸に渡り、折り返す。この復路がなんとも絶景なのである。
真っ直ぐに延びる農道……その道を彩る目にも鮮やかな朱の彼岸花。そんな光景のただ中を、お遍路姿のアベベさんが駆けていく。あまりにも絵になる構図。思わずシャッターを切ってしまった。
光陽の折り返しを走破し、市原の分岐点にまた戻ってきた。ここで第1関門(37.1km)をひとまずクリア。ここから我々は、100km限定の「猿尾滝エリア」、別名「流しそうめんエリア」へと突入する。
この区間は完全な折り返しで、折り返し点までの距離は片道3km。行きは上りで帰りは下り、ときわめて分かりやすい。が、この上りが曲者で、斜度はさほどでもないのだが、この後ついに始まる「蘇武岳攻略」を目前にして、ボディブローのようにじわりと足のスタミナを削り取るのである。なので、ここを飛ばすのは要注意。
上り区間の39km地点にあるのが「猿尾滝エイド」。このエイドには折り返し後にも立ち寄ることが可能だが、私の場合は、どうせならペースの上がらない往路で利用させてもらうことに決めている。その際に、名物の流しそうめんや豚汁でカロリーをたっぷり補給し、折り返し点の「作山エイド(40km)」と復路の猿尾滝エイドはスルーする。下りオンリーの復路では、なるべく立ち止まらずに時間を稼ぎたいからである。
今回も上記の作戦を実行に移した。作山での折り返し後は、下りを利用してテンポよくエリアの入口まで引き返した。折り返す直前に、先行する師匠とすれ違った。足の具合が悪いとおっしゃっていたが、今のところはまだ大丈夫そうだ。
そしてエリアの入口近くまで戻った時、前方から接近する海水さんを発見! ハチ北高原以後は先行されているものとばかり思っていたが、どこかで入れ替わっていたようだ。
「頑張って!」と声掛けすると、「まんたさん、ナイスランです!」と元気な声が返ってきた。すれ違いざまとはいえ、表情にも疲労の色はさほど見られなかったので、私との距離差から推測しても、海水さんがこの後、蘇武岳の第2関門をクリアすることは可能だろうと想像した。
が、海水さんのブログ『遊泳ヲ禁ジマス』によると、この時点で、かなり深刻な足の状態になっておられたようだ。
そんなことになっているとはつゆ知らず、私はと言えば、今回も猿尾滝エリア終了直後に、眼前に妖怪ぬりかべのごとく立ち塞がる「あの急坂」に、震え上がっていたのであった。
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