セコさと意地だけで挑むマラソン大会や、しみじみとした日常を綴ります。



   
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まんた1968

Author:まんた1968
数年前からランニングを続けている奈良県在住のオッサンです。
年に二、三回ですが、ウルトラマラソンにも挑戦しています。
タイムは凡庸なものですが、完走を目標に意地で走りつづけることを得意としています(笑)。

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第19回村岡ダブルフルウルトラランニング⑤

   
 和佐父峠(68.2km)の標高は650m。ここからおよそ5kmの先の射添会館まで、500mの高低差を一気に駆け下る。くたびれきった膝や足首に、この斜度は辛すぎる。おまけにこの区間はコンクリート舗装が多く、おそらく真冬のスリップ防止策だと思うが、舗装面が昔の洗濯板のようになっている。これがまた泣かせる。転倒したら大変と、ある程度スピードを抑えながら下るのだが、奥歯は絶えず噛みしめたまま。一足ごとの衝撃に耐える耐える。下り下手のランナーにとって、これはもう拷問に近い。
 私も、そしてアベベさんも下りは苦手。二人してヒーヒー泣く。
201610021330172e0.jpg

 悪夢の区間をやり過ごし、久方ぶりに下界に到着。ここが「射添会館エイド(73.3km)」、第4関門。入口に設置された大型デジタル時計に、この後のレースの行方が、嘘偽り無く明示される。
 「関門閉鎖まで残り20分」とな。上級ランナーにしてみれば、これは危機的状態と言えるだろうが、私のように村岡で、コンスタントに13時間台を叩き出すことを得意とする(自慢してどうする)漢にとっては、まだまだ許容範囲。昨年も「残り30分」だったのである、ここはドンと構えて行こう。

 とは言え、懸念が無いわけではない。蒸し暑い中を走ってきたせいか、ここへ来て食欲が失せつつある。悪い兆候だ。が、次の長楽寺では「おはぎ」を食わねばならん。なので無理をせず、水だけ飲んでいざ出発。

 75km地点の長楽寺は高台にあるため、また登坂。楽しておはぎは食わせてくれぬ。
 お寺の建物が見えてきた辺りで、アベベさんに追い付かれる。
 「いよいよ、おはぎですよ」と言うと、「えッ、マジっすか! エイドでたらふく食べなきゃよかった」とアベベさん、頭を抱えた。たらふく、とは……タフですなあ。
20161002133058dfd.jpg

 さあ一年ぶりの長楽寺。いつものように大仏殿に入ると、矢印に沿って時計回りに大仏さまの周囲を巡り、仏様のお膝元に設えられたテーブルに着席。檀家さんのお接待で、ありがたくおはぎを頂戴する。おはぎは、小豆ときな粉の二種類。
 いつもならそれらをペロリと平らげるところだが、今回は一つしか喉を通らず。これによってグロッキーは明白となった。残り25km、行けるかしらん。
20161002133138470.jpg

 お茶を飲んで席を立つ。村岡初参戦のアベベさん、黄金の但馬大仏が珍しいのか、もぐもぐ口を動かしながら幾度も見上げている。
 差を付けるのは今しかない!、とばかりに私は、忍び足で大仏殿を脱け出し、こそっと長楽寺を後にする。なんちゅう男だ、この俺は!(笑)

 その後はまたずっと登坂。81.1km地点の「あけぼの山荘」までの6km区間で、標高にして250mの縦移動。ツラい。歩き8割なので時間の貯金は減るばかりだが、もうこうなっては、考えても詮無いことは頭から締め出してしまうに限る。無の境地で、足だけを黙々と動かし続ける。
 「丸味エイド(77.8km)」の手前でアベベさんに追い付かれ、逆転を許す。いつしか上空は分厚い雲に覆われ、遠くで鈍い雷鳴が響いたかと思うと、ぽつぽつ雨が落ち始めた。
 アベベさんの健脚は衰えることなく、その後ろ姿は小さくなるばかり。ここまで抜きつ抜かれつで進んできたけれど、どうやらもう追い付くことは無理っぽい。アベベさん、しばしお待ちを……そんな私の内なる声を、強くなり始めた雨音が、無情にもかき消した。因果応報とはまさにこれ。先程の抜け駆けの罰が当たったのだ。そう言えば長楽寺って、真言宗のお寺やったな(笑)

 あけぼの山荘に到着する頃には、いよいよ本降り。雨具を携帯していないので、濡れるにまかせる。
 ここのエイドではカレーが食べられるのだが、食欲もなく、ほぼ素通り。ここからは一転、88.1km地点の長坂まで、7kmに及ぶ長い下り。第5関門突破のための際どい勝負をかけるとしたら、ここしかない。
 ガス欠が最大の不安材料だが、こういう事態を想定して、普段から「空き腹での長距離走練習」を積んできているので、ペースダウンは避けられないにせよ、萎れゆく植物のような有り様にだけはならない自信がある。
20161002133217445.jpg

 下り坂を力に変え、雨に打たれながら走る走る。降り始めには心地よかった雨も、こうまで打たれ続けると、次第に寒さを伴ってくる。
 下りの途中の「熊波エイド(85.1km)」でトイレに駆け込む。チョコレートを数個口に放り込み、すぐさま出発。今は一分一秒が惜しい。

 やがて「長坂エイド」に到達。迷うことなくスルー。これ以上の寄り道は、第5関門での生死に関わる。いつもこの辺りを似たり寄ったりの時間帯に通過しているので、そこらの直感は働くのだ(だから自慢するなちゅうの)。
 さあ、ここから関門までの3kmは、遮二無二走るのみ! ほぼ直線で変化に乏しく、微妙に上っていることもあり、焦る気持ちとは裏腹に、足踏み感が付きまとう「いやらしい区間」なのだけど、そこは気合いでねじ伏せるしかない。
 関門へ向けてのイチロー選手のレーザービーム返球が先か、私のヘッドスライディングが先かは、ここで勝敗が決するのだ!(なんのこっちゃ…)

 3kmを盛りの付いた狂犬のような顔つきで走り続けた甲斐あって、スライディングは見事成功! 第5関門閉鎖時刻の午後5時30分の、7分前だった(因みに去年は20分前)。ふう、危ねえ危ねえ……冷や汗を雨が洗い流してくれる。
 ひとまずこれで、首の皮一枚で完走の望みは繋がった。常連さんに言わせれば、ここさえ通過すれば、残りの9kmを全部歩いたとしても、リミットの午後7時までにはどうにかゴール出来る、とのことだが、本当にだろうか?

 それが「都市伝説」のようなものかも知れないので、関門のエイド(91.2km)で素早くカロリーを摂取し、ラストの峠越えに出発する。そう……ここからもう一山越えなければならないのだ。
 雨は強くなってくるし、日は暮れてくるしで、辛いのは当然として、それでも秒刻みの走り方から解放されただけマシと思えるから不思議だ。
 歩きで登坂をしてしばらくすると、下の方から関門閉鎖のカウントダウンが聞こえてきたので、思わず身震いする。長坂エイドに寄り道してお好み焼きを食べていたら、自分も今、あの処刑台のようなコールの手前にいたかも知れないのだ。ああ、恐ろしや……。

 登坂途中で日が暮れた。関門で、ペンライトを受け取るのをすっかり忘れていた。峠の最終エイドに幾つか置いてあるだろうか? ライト無しでは、上り坂はともかく、峠を越えてからが心配だ。
20161002133310d77.jpg

 夜になり、さすがに冷えてきた。びしょ濡れの身体で「一二峠エイド(95.5km)」に到着。
 これにて本日の登坂は全て終了。あとはゴール会場までひたすら下るのみだ。
 温かい飲み物を求めてエイドのテントに近寄る。するとそこでは44kmの部のゼッケンを着けた「なんちゃって細川たかし」が、椅子に腰掛け、北酒場の「例のフレーズ」を気持ちよさそうに口ずさみながら、ゴミ袋の口を括っていたのだった。
 【ちょっとお人好しがいい~♪ 口説かれ上手なほうがいい~♪】

 「またそれかい! なんぼほど好きやねん!」
 熱い茶を口に含んだ途端、私は大きくむせた。なんちゃって細川たかしの歌声は、剛速球となって私の「笑いツボ」のど真ん中を刺激した。笑いを堪えるあまりに、腹筋が痙攣した。ここまで来て、恐ろしい伏兵が出現したものだ。
20161002133347660.jpg

 そればかりではなかった。私と細川たかしの間に、88kmのゼッケンを着けた「なんちゃってイモトアヤコ」が割り込んできたからたまらない。おまけにそのイモトアヤコは、スマホを取り出しかと思うと、細川たかしの写真を撮りだした。
 その「なんちゃって同士の交流の図」が涙が出るほど面白く、私は腹を捩りながらカメラに収めた。この一枚は、今回のレースにおける大収穫と言えよう。

 しかし面白すぎて、危うくレースの続行を忘れるところだった。人間、100km近くも移動した挙げ句に、雨に打たれ続け、疲れが極限に達すると、「箸が転んだだけ」でも笑ってしまうものなのだと、今回それがよく解った。

 ゴールまで残り4.5kmの坂道を、私は思い出し笑いをしながら下り始めた。背後に「北酒場」の賑わいが遠ざかっていった。
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