セコさと意地だけで挑むマラソン大会や、しみじみとした日常を綴ります。



   
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まんた1968

Author:まんた1968
数年前からランニングを続けている奈良県在住のオッサンです。
年に二、三回ですが、ウルトラマラソンにも挑戦しています。
タイムは凡庸なものですが、完走を目標に意地で走りつづけることを得意としています(笑)。

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白昼の死角・後編(えびす・だいこく100kmマラソン番外編)

   
 玉作史跡公園から再び温泉街へ戻ってきた頃には、正午を回っていた。
 温泉街には「玉造温泉ゆ〜ゆ」(下の画像・ネットから借用)なる日帰り入浴施設があり、計画ではここで昼飯を食べ、風呂やマッサージやらで夕方まで時間を潰すつもりだったのだが……
 な、なんと定休日! 到着してみると駐車場には一台の車もなく、閑散としていたのだ(・_・;)
 や……やってもうた。ネットで予め、料金や館内設備などは確認していたのだが、一番大事なことのチェックをすっかり怠っていた。

 これにて計画は根底から白紙に。さあ、どうすべえ? 正午を過ぎたので風呂よりまず食事だが、ざっと歩き回ってみたところ、食堂らしきものが少なく、しかもランチタイムにもかかわらず営業していないときた。
 ど、どないしょ……焦りが募る。スマホを取り出し検索する。グルメスポットの検索なんて初めてした(笑) それによると史跡公園の南東側に、喫茶店のようなものが一軒あるみたいだが、定休日や営業時間の情報は無い。
 正直もう歩き回りたくはないけれど、飯にありつこうと思えば、行ってみるしか術はなし。が……

 ……道中どこでどう間違えたのか、喫茶店には辿り着かず、いつしか私は、ひどく淋しい場所にある、ラブホテル街に足を踏み入れていたのである。
 平日の白昼の、それも人影皆無なラブホ街ほど不気味なものはない。地元の人が車で利用するしかないような立地にあり、そんな所へ土地勘のない者が、徒歩で迷い込んでしまった。
 さあ、どうすべえ……5〜6軒の「いかにもな建物」を呆然と眺めながら考える。選択肢は以下の二つ。
 
 ①空腹で、しかも歩き疲れたので、ラブホにチェックインする。すれば風呂にも入れるし、昼寝もできる。飯はルームサービスで済ませば良し。
  だが、ラブホなんてここ十数年入ったことがないので、「お一人様でも可」なのかどうかよく分からん。その上、徒歩で入った経験もない。

 ②大きいスポーツバッグをぶら下げて、こんな時間にこんな場所をうろついていたのでは、不審者と間違われかねない。なので早々に退散するが吉。

 ……結局、②を選択。暑い最中をまたまた歩き回り、どうにかこうにかラブホ街からの脱出に成功。ようやく玉造温泉街へ戻ってきた。ああ、良かった。白昼夢から抜け出したかのような安堵感にどっと脱力。こうなりゃ、もう温泉街から動かんぞ。

 ということで、また食堂探しを再開。スマホとにらめっこして、温泉街の中で、訪ね忘れている食堂が無いかチェック。すると細い路地を少し入った所にある「出雲そばのお店」を見落としていたことに気付いた。足がだるいが、藁にもすがる思いでそこに向かう。
 と、路地の入口、つまり温泉街のメインストリートに面した場所に、奇妙な建物(下の画像・ネットから借用)があることに気付いた。
 三階建で素っ気ない外装。目立たない場所に「クラブ ローズローズ」と書かれたピンクの看板が掲げられている。クラブ? 飲み屋かしらん?……と一瞬思い、スマホで調べてみると、なんとそれは「ソ❤プランド(以下、泡国と書く)」であることが判明。しかも、「島根県で唯一の泡国」と説明されている。
 唯一……という部分が大いに引っかかった。どこそこで「唯一の〇〇」、「最後の〇〇」といった表現に、私はからっきし弱いのである。「ラスト・サムライ」みたいなシチュエーションが好きで、時代の流れに抗って踏みとどまっている姿に、感銘を受けてしまうのである。

 昨今の「社会のインチキ臭い健全化」の波を受け、ファミリー層の反発を買うからと理由で、各地の温泉場からこの手の建物が消えつつある。私が子供の頃は、地方の鄙びた温泉街にはストリップ劇場とかがあって当たり前だった。
「そこのお父さん、ええ娘いまっせ。どうですか?」みたいな客引きの声に、「いやいや、家族連れやから」とやんわり断っていた親父の顔が目に浮かぶ。
 子供だった私にはむろん、詳しいことなど理解できる筈もなかったが、ぼんやりと「大人の事情」であることだけは想像がついた。今思えば、ああいうのが「真の社会勉強」だったのだ。そういう過程を経て、子供は、オッサンへの階段を少しずつ上っていく、つまり、そんな時代だったのだ。

 ノスタルジーとお叱りを受けようが、こういう「生の教育環境」って、いつの時代にも必要だと私は思う。それを世間体を過度に憚って、強引に人目に触れないようにしてしまおうとするから、無理が生じ、むしろ社会が、そこに生きる人間が歪になっていくのだと思う。
 かく言う私も、独身の頃には泡国に何度かお世話になり、そっちの欲が薄れて利用しなくなった今でも、良い経験、良い思い出として残っている。だからこのお店にも、出来る限り長く、存続してほしいものである。

 ……とまあ、回り道してしまったが話を進める。
 路地を入ったところにある出雲そばの店は、休業していた。腹ペコのあまり、強烈な脱力感。これでほぼ、昼飯を食える可能性は潰えた。重い溜息と共に、また泡国の前まで戻ってきた。
 もう食事は諦めて、温泉街を後にするか……そう観念した矢先に、ふと、以下のアイデアが閃いた。

 日帰り温泉に浸かって飯を食う計画に狂いが生じたのは、予定していた施設が定休日だったことが原因なのだが、「風呂なら、ここにもあるじゃん」と私は、泡国の建物を見上げて思ったのだった。
 〇〇行為をする場所という思い込みが先行して、すっかり忘れていたけれど、泡国とは基本的に「入浴施設」なのである。
 そのことに気付いた途端、歩き疲れ、空腹感の限界に達していた私は、こう考えた。

 ①まず入店する。
 ②〇〇行為が目的ではないので、泡姫さんの選択は店におまかせする。
 ③入室し、泡姫さんに事情を説明する。泡姫さんはその道のプロなので、失礼のないように、やんわりと行為の方はお断りする。
 ④泡姫さんが理解してくれたら、さあ入浴。背中を流してもらい、「やったげるよ」と泡姫さんが言ったなら、マッサージを受ける。
 ⑤食事の出前がとれないものか、泡姫さんに訊く。出来るようならお願いする。

 以上の5点が可能ならば、ミッション・コンプリート。当初の計画が、予想だにしなかった形で実現することになる。問題はお値段だが……

 【ゆ〜ゆ】 入浴・¥410+マッサージ60分・¥4000=¥4410
 【泡国】 60分・¥23000

 スマホで調べた結果、初めに予定していた温泉施設との料金差が、以上であることが判明した。だみだこりゃ!と、私はいかりや長介さんの口ぶりを真似て呟いたのだった(笑)
 そらそうやなぁ……ハッハッハッハッ

 アホやなぁ、ワシは……夢から覚めた私は、温泉街を後にした。浮かび来るのは自嘲の笑みのみ。ま、そりゃそうだ(笑)
 駅の方角へ半分ほど引き返し、道端の観光案内所で、山陰道の宍道湖SAへの行き方を訊ねる。これが約2kmとまた遠い。しかも淋しい山道で、ずっと上り坂だという。「タクシーで行かれたほうが……」
 でもでもここまでくれば、もう疲れついで。腹も減りすぎて感覚もないことだし、半ばヤケで歩くことにした。

 そんなこんなでSAに辿り着いたのは、午後4時。売店へ直行、弁当とパンとお茶を買い、ベンチへ腰掛けてやっとのことで昼飯にありつく。
 食後、スマホの万歩計アプリで、本日の歩いた距離を確認する。なんと20km!

 あ……アホか、ワシゃ……高速バスの乗車時刻まであと数十分、SAの展望台から遠くに宍道湖を眺めつつ、そう独りごちる。
 昨日100km走って、今日ハーフマラソンほどの距離をさまようって、どないやねん!
 「白昼の死角」というタイトルの小説があったけど、本日の私がまさにそれ。こんなことってあるんやねえ。とにかく、一日中夢の中をうろついていたような気がする。
 ま、そんなお陰で、数十年ぶりに、ラブホや泡国に入る一歩手前まで接近したわけだけど(笑)

 宍道湖の北側が微かに見える。昨日、あそこをひいこら走っとったんやねえ……半ば夢心地で、私はそんなことを思ったのだった。
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No title
実に有意義な時間の使い方じゃないですが。(大笑い)
こりゃ一生忘れられませんわ。
そういえば熱海にも泡国ありましたねぇ

完走おめでとうございました。
レポ楽しく読ませていただきました。
>>Pink_manさん
スマホで調べる前に、近くの土産物屋の店員さん(しかも若い女性)に、「あのビル何ですか?」と訊いてみようと思ったりしたのですが、踏みとどまって幸いでした(笑)

山陰はマイカーの所有率が高いと聞いたことがありますが、さまよってみて、その理由が実感できたように思います。


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